圧縮比とオクタン価。

2020年1月31日

先日、ジレラクロノの排気デバイス制御を修理した際、
ネット上で見付けた【サービスマニュアル】がとても参考になりました。

このマニュアルの存在は以前から知っていたのですが、
どうも私は日本語以外の言語にアレルギーが出てしまう体質なので、
ずっと見ない事にしていました。(笑)

でも本来オートバイ整備するのであれば、整備書は見るべきです。
と言うわけで、辞書を片手に少しだけ翻訳してみました。

ジレラのマニュアルはクロノだけでなく、
CXやオフロード車などの【2ストローク同型エンジン】で一冊にまとめられています。
またありがたい事に、イタリア語、ドイツ語、英語と3言語表記です。
(英語なら辞書を片手に、何とかなるかもしれません。)

総ページ数が190ページもあるので、
取りあえず今回は、目次以降にある【諸元表】を読んでみました。

するとちょっと「あれっ?」と思える箇所があったのでブログにしてみます。

それは【Compression ratio(圧縮比)】と
【Super gasoline 〈petrol〉(オクタン価)】 です。

2ストロークオートバイの圧縮比は、80年代のハイパワーレプリカ車であっても、
いいとこ【6.0:1~7.0:1】だったと思います。

これは2ストエンジンの特性上、
二次圧縮を上げると、パワー感は出るが高回転が回らなくなるからです。
(経験上、トルク型エンジンになってしまう。)

ところがクロノの諸元表には【圧縮比 12.5:1】と書いてあります。(ビックリ!)

4ストローク車であれば15以上の圧縮比エンジンがある事は知っていますが、
2ストでは聞いた事がありません。

更に使用ガソリンは【96オクタン以上】と書いてあります。

単純に考えれば、高圧縮エンジンなので、
異常燃焼させない為にハイオクガソリン入れろって事ですが、
エンジンオイルを燃やしながら爆発させる2ストエンジンでは、
ちょっと問題がある様に思えます。

それはハイオクガソリンには多くの【洗浄剤】が含まれているからです。

通常、洗浄剤に使われるのは【トルエン】です。
これは4ストエンジンのバルブ等に付着するカーボンを取り除くのには有効ですが、
同時にエンジン内のオイルも流してしまいます。

ヘッドに大量のエンジンオイルがある4ストエンジンでは問題ありませんが、
クランク内にもオイルが溜まっていない2ストエンジンでは焼き付かないか心配になります。
(日本で売られているハイオクには、
レギュラーの2倍のトルエンが入っているそうです。)

また最近のガソリンには【京都議定書】に沿って、
ETBE(バイオエタノール合成物質)が多く含まれています。
この成分も2ストエンジン(キャブ)にはあまり良くないと聞いています。

クロノだけでなく、現存している2ストローク車は新しくても20年は経っています。

長く乗り続ける為に、あえて私はレギュラーガソリンを入れているのですが、
正式なマニュアルを見ていると
「メーカーの整備指示に沿っていないのは正しく無いのでは?」
と心配になってしまいます。

問題は圧縮比12.5:1の真偽ですが、この数値をどう考えるのか?
(四輪車の4ストエンジンなら通常のオットーサイクル以外に、
膨張比を大きく取るミラーサイクル方式があります。
この測り方だと圧縮比はかなり上がります。
ただバルブの無い2ストでは関係ありません。…笑)

またオクタン価についても、20年前のヨーロッパ製ハイオクガソリンと、
今の日本製ハイオクガソリンとではどう成分が違っているのか?

専門の人に聞かないと解決しないかもしれません。
(まあトルエンに関しては、2スト旧車だけでなく、
青少年も使わない方が良さそうですね。…笑)

クロノ

Posted by フクタロウ